戦前
1936年9月30日
日本統治下の台湾で、名家の令嬢である女児 竜前 咲(7)に飼われていた黒兎が、興奮して全力疾走している最中に壁に鼻をぶつけて死ぬ。
咲、家にあった呪術書を両親が援助している書生 四方木 悠人(17)に渡して「ウサちゃんを生き返らせて」と頼む。
世話になっている家の愛娘の願いを無碍にできなかった悠人、ままごとに付き合うつもりで呪術書に記されていた反魂の儀式を行う。
兎が微かながら霊能を持っていたこと、満月の魔力、儀式の仕上げに荼毘に付された呪術書、月の霊獣「玉兎」に発音の似ていた「悠人」の名で縁と力が足り、憑神 暁月誕生。
悠人、兎が全裸の男になったことに混乱しながらも暁月を家に連れ帰り、「記憶喪失の行き倒れを保護した」ことにする。
暁月、悠人の下宿先で言葉や礼儀作法を学ぶ。
咲に正体がバレ、「あたしのウサちゃん返して!」と怒った咲に訴えで咲の家で暮らすことになる。
暁月、咲の家で勉強したり、怪談を集めたり、使用人の仕事を習って過ごし、休日に訪ねてくる悠人に怪談を披露する日々を送る。
└悠人は反魂の儀式の際「死んだ獣の名を呼び願い事を唱えろ」という記述に従い「暁月。もし本当に蘇ったら、おまえが知ったあの世の不思議な話を聴かせてくれ」と起呪を発した。
が、その場で適当に口にしただけですっかり忘れており、暁月が興味のない怪談をしてくるのを鬱陶しく思って聞き流したり、ほとんどは「また今度な」と断っていた。
└暁月は起呪を叶えられないストレスでいつも顰め面で、兎のときの癖で壁や床によく当たっていた。
└目が悪いのでは? と思われて眼鏡を誂えられた。
戦時中
1941年、世界大戦に日本参戦。
悠人(20代)、医師免許取得。病院で働き始める。
暁月、悠人の友人の軍人と秘かに親しくなる。
暁月と悠人、狸の憑神 朔羅とその主人で男装の軍人 刑部 吹雪と出会う。
悠人と暁月、朔羅から憑神の基礎的な知識を教えてもらう。
└悠人、暁月の怪異譚を聞き流していたのを反省する。
暁月、軍部に協力して憑神の研究をしている神連の女性と知り合う。
彼女に教えを請い、憑神のことや呪術を教えてもらいながら神連の研究班で働かせてもらう。
軍から強力な呪いを依頼された神連、実験ついでに暁月を呪殺の儀式の材料にしようとする。
暁月、すんでのところで悠人と朔羅たちに助けてもらう。
└このとき朔羅に天高くぶん投げられて安全圏へ逃されたため、裏切られた絶望と恐怖が高所の景色と結びついてしまった。
朔羅と吹雪、勝手に暴れた罰で前線へ飛ばされる。
本国で呪いを戦争に活用しようとした軍人が失脚し、後ろ盾を失った神連の女が台湾から引き上げる。
└詳細不明。戦争のために憑神を作ろうとして失敗した?
暁月、人間不信になりながら、悪化していく情勢の中で悠人や咲を守るため習った術を使う。
└暁月は戦時中のことを思い出したくないのであまり語らない。
戦後
1945年8月 終戦
暁月、悠人(26)と咲(16)といっしょに日本に行く。
悠人、広島で四方木診療所を開く。
└暁月、診療所を手伝う。
悠人、《遠耳》を活用した問診で評判になる。
1946年 悠人(27)と咲(17)、結婚。
1947~1949 第一次ベビーラッシュ
1947 悠人(28)と咲(18)の間に長男 明誕生。
暁月、子守を手伝う。
1949 悠人(30)と咲(20)の間に次男 望誕生。
└復興していく世の中で子育てに励む内に、暁月の人間不信が和らいでいく。
悠人、一部の患者の症状が呪いや霊障によるものだと気づく。呪いに対処するため霊薬作りに挑戦したり、暁月に催眠療法を習わせたりする。
昭和
呪いや霊障に悩まされていた患者が全国から四方木診療所を訪れるようになる。
暁月、悠人の友人だった元軍人が結婚したことを知り、失恋を自覚する。
1957 もう一人ほしいと咲がねだり、悠人(38)と咲(28)の間に三男 満誕生
1964 明(17)、診療所の跡継ぎになるのを拒否して家出。
明、全国を放浪する中で、危険な呪物を探しては封印する霊能力少女 玉槻 小春(17)と出会う。
明と小春、いっしょに冒険する。
1968 望(19)、兄に代わり診療所を継ぐため医大に進学
1969 明(22)、小春(22)と結婚
実家に帰った明、「骨董商になってツキ兄を雇う」と宣言。また悠人(49)と大喧嘩になる。
└最終的に「月兄が好きなのは医学じゃなくて怪談だろ」と明に言われた悠人が、暁月の意思を確認して折れた。
明、小春といっしょに骨董商を始める。
1971 明と(24)小春(24)の間に長女 小夜誕生。
悠人、出産祝いに明一家の家を建てる。
暁月、明の家に通い子育てを手伝う。
望、医師免許を取得。四方木診療所で働き始める。
└望、祓い屋の娘 犬養 妙と交際するが、暁月を兄だと慕う望と使い魔として扱う妙で折り合いがつかず、破局。
明、家を改築して骨董店「よろづ奇蒐園」を開く。
暁月、住まいと勤め先を診療所から奇蒐園に移す。
└「ウサちゃんはアタシのなの!」と咲(40代後半)も奇蒐園に引っ越して同居する。
1990年代
1992 満(35)、綿貫 照代(27)と見合い結婚。
1993 満(36)と照代(28)の間に長男 新誕生
小夜(22)、大学を中退して未婚で長男 朝晴を出産。
1993 望(44)、看護婦稲葉 磨季(25)に口説き落とされて結婚。
1995 満(38)と照代(30)の間に長女 香夜誕生。
望(45)と磨季(26)の間に長男 来と長女 真夜の双子(二卵性双生児)誕生。
小夜、「化け物ウサギと同居なんてもうウンザリ」と言い放って明と喧嘩になり、奇蒐園に朝晴を預けて出ていく。
朝晴、明と小春の子として育てられることになる。
1999 満(42)と照代(34)の間に次女 美夜誕生。
2000年代
真夜、悠人の調剤室に入り浸って霊薬の作り方を覚えたり、暁月の書斎で呪いの知識を学んだりする。
2009 真夜(14)、一般人を呪って悠人(90)に調剤室と奇蒐園への出入りを禁止される。
悠人(90代)、霊薬作りに興味を持った漢方薬剤師 月輪 ルナ(20代)を弟子にする。
└ルナの善悪に重きを置かない性格に真夜を連想し、放置するより教え諭したほうがマシと判断した。
2010年代
咲(80代)亡くなる(寿命)
ルナ、一人前と認められ京都で薬局を開く。
└悠人、霊薬を必要とする患者をルナに引き継ぐ。
2016 朝晴(23)、大学を卒業して奇蒐園で働くが、呪物が怖くて疲弊する。
新(23)、警察官になる。
2018年3月 悠人(99)、亡くなる(寿命)
└明(71)に契約が継がれず「えっオレ親父の子じゃなかった!?」「そんなわけないでしょ」などと騒ぎになる中、体調を崩して葬儀に来なかった美夜(18)に暁月が継がれていると判明する。
暁月、県外の大学に進学した美夜と同居して大学生活をサポートする。
美夜、神憑きの才能が開花。「憑神は主人の命令に従う」の細かい仕様を暁月と実験する。
美夜、憑神に興味を持ち《遠耳》で情報を漁る。暁月、憑神の研究が捗る。
暁月、明たちと話し合い、美夜が奇蒐園を継ぐことになる。
朝晴、常連客の伝手で和食料理店に転職。
香夜(23)、大学卒業後 裁縫店に就職。
└順調にキャリアを積んでいたが、ブラックだったので辞めて独立する。
真夜(23)、大学を卒業後、全国を放浪して呪いを集めて回る。
来(23)、同級生だった研修医 宇佐美 依子(23)と婚約する。
2019 香夜(24)、結婚。姓が虎谷になる。
美夜(20)、教授が教え子にセクハラしているのに気づき、暁月に呪うよう命じる。
神連が現れ、呪いを止める。以後「神連に協力する代わりに、美夜が《遠耳》で知った犯罪やトラブルの解決を神連が行う」契約を結ぶ。
└暁月は未だに神連に不信感があったが、警察に「超能力で知りました」と言うわけにもいかないし渋々受け入れた。
来と依子、四方木診療所に就職。
依子は霊感があったので、悠人の遺した資料を神連に提供する代わりに呪術医の技を教えてもらう。
2020年代(現在)
2022年3月 美夜(22)、大学を卒業。
暁月、霊感が強くなり《遠耳》が過敏になった美夜のために、奇蒐園を模様替えして《遠耳》を遮る結界を張ることにする。
明(74)、少し早いが暁月もいるしと美夜を二代目店主にする。
明、小春(74)と夫婦で世界旅行に出かける。
美夜、雑然と骨董品が積まれていた奇蒐園を、整然とアンティークが陳列された内装に模様替え。
暁月、危険な呪物を封じていた地下の蔵を結界の要に再構築する。
美夜、顧客の詐欺被害を未然に防ぐ。
狸の憑神の詐欺師 十五、美夜に興味を持って奇蒐園に来店。
暁月、十五と「店や関係者に悪さをしない代わりに、金銭か情報の報酬で怪異譚を聴かせる」契約を結ぶ。
2023 香夜(28)、長男
辰也を出産。
美夜(24)、児童連続誘拐殺人事件の被害者の声を《遠耳》で聴いてしまい、事件に巻き込まれる。
神連や鴉の憑神ヘルメスとその主人ジョン・スミスと協力して事件を解決する。
└暁月の神連への不信感が和らぐ。
→「血潮は熱く燃えて」
暁月、強くなりすぎた美夜の霊感を神連に封じてもらう。
└以後、暁月はテレビや新聞の類を美夜の前では見ないようにしている。
暁月、事件で負った美夜のトラウマを催眠術で和らげるため、霊薬の助けを求めて悠人の弟子だった月輪 ルナに連絡を取り、京都を訪ねる。
└暁月、ルナが神憑きになったこととその代償を知り、美夜には代償を秘密にするよう頼む。
以後、美夜の心理的負担が大きかった案件の後は京都に霊薬をもらいに行くようになる。
2024夏 暁月と美夜(24)、神連から依頼されて人喰い狐討伐の情報収集と作戦立案に携わる。
→「暁にカササギ羽ばたき燃え尽きる」
作戦を引っ掻き回した十五と縁を切ろうとするも、口車に乗せられて叶わず。
暁月、十五に聴かせる怪異譚の報酬を上乗せする。
→「あきない噺/馴れ初め編」(未収録)
2024冬 暁月と美夜(25)、神連の依頼で北海道にある山村に座す憑神封じを手伝う。
→「繭たゆたう村」(未収録)
2025春 暁月と美夜、神連の依頼で憑神作りの研究をしていた地下研究所の跡地を調査する。
→「雨に陽だまり、月隠れ 星降る朝に夢の跡」
2025夏、暁月、うっかり十五に惚れる。
→「あきない噺/夏はおぼれる鯉&夏はさびしい鯨」(未収録)
2025冬 暁月と美夜(26)、神連の依頼で猿の憑神退治を手伝う。
→「あきない噺/冬をこせない猿」(未収録)
2026春 アナグマサーカスの座員になっていた朔羅と再会する。
暁月と美夜、アナグマサーカス座長 ムジカの依頼で座員が呪われた事件を調査する。
└暁月、呪術の基礎を教わった神連の女が無間衆「残夢」として存命なのを知る。
→「あきない噺/春はさめない狢(未執筆)」
結婚して子どもができた小夜が、いつか暁月を継ぐことになるのを不安がって奇蒐園を訪ねる。
小夜、暁月が美夜に継がれたことを知って安心するも、美夜を怒らせて喧嘩別れになる。
2026夏、暁月、十五に失恋する。
→「あきない噺/失恋編ラスト」(未執筆)
2026秋 奇蒐園襲撃事件。
└怒った美夜が十五と絶縁する。
→「あきない噺/秋はあきない兎」(未執筆)
2025冬 暁月と美夜(28)、皇 光輝の町を巻き添えにした心中計画を破壊する。
→「悪狐討伐(タイトル未定)」(未執筆)
美夜、春の事件で負傷しマネージャーのジナと契約したムジカの恋愛相談に乗った結果、事態を悪化させる。
暁月、美夜の尻拭いに奔走する。
→「穴熊囲う星をぶち抜いて」(未完結)
バクの憑神 ドーリィの主人 日賀 のぼるが目覚めなくなる事件を美夜と共に調査する。
巻き込まれた他の憑神、神憑きたちと共に夢の世界を冒険し、事件を解決する。
→「ドーリィの大冒険~悪夢の迷宮~」(タイトル未定/未完結)
2027春 暁月、奇蒐園襲撃事件で力不足を痛感したのもあり、美夜(29)と共に改めて術を学ぶため、九州にある「相生倉市」の「木野下神社」で修行する。
→「奇蒐園・相生倉市出張編」(未執筆)
未来
明が亡くなる。
暁月も亡くなったということにして、暁月伯父さんの生家出身の青年という設定でイメチェンして戸籍を新調する。
└印象を変えるため、髪を切って眼鏡を外し、洋装の背広を着るようになった。
美夜が亡くなる。
└ 暁月が三代目奇蒐園店主になる。
暁月、戸籍上の年齢と外見年齢がズレてきたので、また眼鏡をかける。
暁月、十五と再会する。うっかりまた惚れる。
暁月、十五と「暁月が十五側に伏せて設定した条件を満たさない限り、関係を破棄できない」という契約をして交際する。
└暁月、交際しながら十五を滅ぼす作戦を練る。
→「あきない噺/再会編」(未執筆)