英雄氷解

「以上、市民の皆サンの率直なコメントでシター★  ドンナ気持ち? オナホヒーローって呼バレて、ドンナ気持ち?」  くだらん。と、アイスソウルは胸中で告げた。  口で答えても反抗的な態度を愉しまれるだけだが、そもそも声を出せない。氷結を操るベテランヒーローの誇り高き体は、ひんやりとした触感とプルプルとした柔らかさが絶妙の、およそ20cmほどの青い物体……いわゆるオナホールに変えられている。  下劣極まりない悪の技に貶められ、毎日のように怪人の──本来なら瞬殺できる低級戦闘員の──肉棒をハメられ、おぞましい熱気とアンモニア臭い精液を骨身に染みるほど浴びながらも、彼の精神は折れていなかった。  名声を得て感謝や賛美を浴びるために、ヒーローをしているのではない。誰になんと思われようと構わない。それが、俺の…… 「じゃ、今日はイッパイ再生回数を稼いでクレたオナホヒーローちゃんに、ご褒美のプレゼントでース♥」  下品な笑い声と共に連れてこられた影に、決して怒りを忘れることのなかったアイスソウルの思考が凍りついた。  黒髪を赤く染めたツーブロックの髪型。ゴツイが愛嬌のある顔立ち。威厳を出そうと伸ばした顎髭。ほとんど破られているにも関わらず、中途半端に残され卑猥に貶められた強化スーツ。  アイスソウルが怪人に囚われた理由。先に怪人に捕まり無様を晒した後輩ヒーロー・ライトレッドが、目隠しをされ、後ろ手に縛られた格好で連れて来られた。 「どう、ライトレッドちゃん? 淫乱肉穴ヒーローの故障チンポ、満足でキそ?」  やめろ。オナホールにされたアイスソウルの声は誰にも届かない。怪人の手で弄ばれ、鈴口がやけにパックリと開いてグロテスクに膨れ上がったライトレッドの男根が、アイスソウルの尻……青く透き通る挿入口にセットされる。  やめるんだ。誰に向けた懇願なのか。オナホールにされても明瞭な五感が、ライトレッドから伝わる熱と臭気に竦み上がる。  焦らすようにぷるぷるした表面を亀頭に擦り付けられ、ライトレッドは歯を食いしばって耐えているが、唇の端から垂れる涎と、アイスソウルに触れるペニスの熱さが、怪人の問いに無言で回答していた。 「よかっタァ、気持ちヨさそうダネ!  今日は動画ミリオン再生突破記念ノご褒美だカラ、心置きナク射精してイイヨ★」  やめてくれ。拒絶は無力だった。怪人の無遠慮な手が、ライトレッドにアイスソウルを貫かせた。  尻穴から脳髄を串刺しにされる衝撃。体を割り開かれ全身に他者の熱が広がる屈辱。何度も凌辱され凍てついていたはずの心が苦痛に身悶えする。知りたくもなかった後輩の恥部を、世界中の誰よりも体で覚えてしまう。  怪人の指がアイスソウルの首の辺りをライトレッドのカリ首に擦り付ける。ひんやりしたプルプル触感に刺激され、ライトレッドの雄が喜ぶ脈動を、アイスソウルは全身で味わった。  いやだ。この苦境にあってなおこぼれなかった弱音が漏れる。全身を貫く後輩ヒーローの体温が、鼓動が、えた恥垢の味が、においが、誇り高きベテランヒーローの魂を苛んだ。 「ア、貫通しチャッター。ダイジョブかナ? 壊れてナイ?」  怪人の指捌きが速すぎて、ライトレッドの先端がアイスソウルの口からこぼれてしまう。人体では不可能なほど口が広がり、後輩の熱が舌を蕩した。まずい。  ライトレッドはアイスソウルを凌ぐ才覚のヒーローだ。その身からこぼれるエナジーは下級怪人の比ではない。今の状態で、射精によって無防備にライトレッドのエナジーを浴びたら、反発した怪人のエナジーがどんな反応を起こすかわからない。  耐えろ、ライトレッド。お前は、いつか、俺をも超える、最高の── 「あ゛っづぅうっ」  オナホになったアイスソウルの激励は届かず、ライトレッドは泣き声のような嬌声を漏らして射精した。  アイスソウルの全身を貫く性器から煮えた白濁が噴き上がり、顔面に降り注ぎながら中をも満たしていく。  怪人どもと何ら変わらない臭さ、熱さにも関わらず、その衝撃は別格だった。肌の隅々まで後輩を浴びて、毛穴の奥まで子種に満たされる。精液に籠もるライトレッドから漏れた力が、アイスソウルを包みこんだ。  怪人の力で固定されていたオナホ化が解ける。20cmほどに縮められていた肉体が逞しい長身を取り戻し、その重量を受けてライトレッドが仰向けに倒れた。 「くっ、うっ!?」 「っつぁ? なん、これ……」 「アッ、ヨかったァ♪ 壊れてなかったね」  混乱は一瞬にも満たなかった。元の体に戻れば、こんな怪人、一瞬で。 「く オっ!?」  立ち上がろうとした途端、尻のナカをゴリゴリと抉られ、アイスソウルは腰を抜かした。ぶちゅりと下品な音を立てて、尻がライトレッドの鼠径部にキスをする。  ライトレッドのチンポが突き刺さった尻穴だけが、オナホのままだった。雄を咥えれば悦ぶよう調整された襞が、後輩の性器を勝手にしゃぶり上げる。 「じゃ、ボクはお仕事あるカラこの辺デ。  じっくり二人で楽しんでね★」 「待て、殺してやっ」  声を上げるだけで、尻から広がる熱が力を奪った。立ち上がれない。  オナホ化が解けても、受けた陵辱は消えない。快楽を覚えるよう調整された腸壁が、後輩の肉棒を咥えて悦んでいる。顔面に浴びた精液が鼻腔に貼り付いて、雄の臭気が犯される悦びを思い出させる。  込み上げる声を咄嗟に押し殺して、アイスソウルは己を罵倒した。何をしている。ライトレッドの目隠しと拘束を解け。二人なら脱出の成功率は上がる。恥など正義の前には瑣末なこと。  まずは立ち上がれ。決意して、アイスソウルは股を広げてしっかりと足裏を床に下ろし、腰を上げ……  絶頂の余韻で朦朧としていたライトレッドが、腰を浮かして肉棒をアイスソウルのナカに擦りつけてきた。 「くぁああああああっ?? レッド、何してッ……」 「ぁ゛、す・げぇ……」  情熱的な突き上げに、再びアイスソウルの腰が抜ける。  ライトレッドは、囚われの身となってから初めて自主的に貪れる快楽に、理性が溶けていた。雄としての本能が腰を上下させる。後ろ手に縛られたままにも関わらず、ヒーローとして鍛え上げた体は、かつての師の恵体を苦もなく揺さぶった。  オナホのままのアイスソウルのナカが、ニュルニュルとライトレッドのチンポに絡みつく。ひんやりした触感がライトレッドを刺激して、アイスソウルには自分を犯す勃起チンポの熱を意識させた。鍛えた臀部が痙攣して、愛弟子の雄を締め付ける。  自由になった手で口を塞ぎ声を押し殺している自分に、アイスソウルは困惑した。  何をしている。立ち上がれ。いや、声を上げろ。一言。俺はここにいると。助けに来たと。ライトレッドに。それで、二人で。脱出。チンポが。気持ちいいと。知られる。駄目だ。脱出しないと。だめになる。教えないと。  お前が今、犯してるのは、俺だと―― 「あ゛、イク、イクイクイクイグ、ぁっ……ソウル?」  たったそれだけが言えなくて、アイスソウルは真っ白に意識を飛ばし、後輩の上で無様に股を開いて射精した。