冬の時雨
長雨は遠くまで続いて
若葉は夜露に濡れて霜に埋もれる
春はまだ遠く
冬が日の出を閉ざしてしまう
月は雫を集めて氷室を造り
雪がもうすぐ炎に変わる
遠くまで
連れて行ってほしい
まだ
声は届かない
届かずに
指先が触れる
もうすぐ
声が涸れる
届かない
涙が零れてしまう
降り積もる雹が
嵐を連れて来る
焼け爛れた淡雪は
解けずにもうすぐ消えてしまう
消え失せた碧空を
誰も探せはしないのに
それでも
心ない人はいなかった
長雨は遠くまで続いて
嵐は遠い未来まで続く
その前に
遠くまで
連れて行って
もうすぐ
逢えなくなってしまうから